放射線治療について
放射線治療について
放射線治療とは、放射線を腫瘍などの病巣に照射し、細胞を死滅させる治療です。放射線治療に用いられる放射線はいくつかありますが、通常、放射線治療というと、X線や電子線、ガンマ線を照射する治療です。そのほかに陽子線や、重粒子線を用いた粒子線治療というものもあります。また、放射線治療にはその照射法によって、リニアックなどの加速器による外部照射法と、密封した放射性同位元素を用いる密封小線源治療があります。
当クリニックで行う放射線治療は、X線および電子線を用いた外部放射線治療です。外部放射線治療は通常は1日1回照射、週5回照射で行い、治療回数は数回から40回程度まで、その人の病状によって変わってきます。1回の治療時間は1分程度から10数分程度で、放射線のかけ方、放射線の量などによって違います。毎回病巣に正確に照射するために体にマーキングが必要になります。治療する部位によってはシェルといいうお面や型を作って、そちらにマーキングする場合もあります。放射線治療自体は熱くも痛くも痒くもありません。照射回数が増えてくると、照射部位に反応が出てきて、皮膚炎や粘膜炎などの炎症が出てくる場合もありますが、治療が終了して、2〜3週間もするとそれらの症状は落ち着いてきます。外部放射線治療は体に直接傷をつけることはありませんので、体に侵襲の少ない治療と言えます。放射線治療単独の場合は通院での治療が可能なことが多くなっています。このように放射線治療は病巣を直接メスで切り取るわけではありませんので、治療の効果が表れるまでには少し時間がかかります。病気によっても違いますが、通常は1か月〜2か月かかることが多くなっています。
当クリニックでは放射線治療装置を2台備えております。1台は通常の外部放射線治療装置(リニアック)で、もう1台はサイバーナイフというロボットアームにリニアックを搭載した定位照射専用装置で、北日本では初の導入になります。外部放射線治療装置では、通常の放射線治療のほかに、3次元原体照射や強度変調照射法(IMRT)も行えます。
主な治療
- ■ 通常外部放射線治療
- 通常の外部放射線治療装置では乳癌の術後照射(乳房温存療法における残存乳房接線照射、胸壁、鎖骨上窩照射など)、前立腺癌3次元原体照射、頭頚部腫瘍、転移性骨腫瘍など、様々な疾患の放射線治療が行えます。回数は乳癌術後照射では25回から30回、前立腺癌3次元原体照射では35回から37回、その他数回から30回程度と病状によって変わります。
- ■ 定位照射(ピンポイント照射)
- 小さい病巣に対して、多方向から放射線を照射し、病巣に集中的に照射する方法です。入射する放射線が多方向に分散されるために体の正常組織に与えるダメージは非常に小さくなります。さらに病巣には大線量が集中することになり、治療効果が大きくなります。照射回数は1回から数回で終わります。脳、頭頚部(耳鼻科領域)、肺、肝臓などの腫瘍に対して行えます。
- ■ 強度変調照射法(IMRT)
- 通常の外部照射は、1〜数方向から照射しますが、各方向からの放射線の強さを様々に変化させることで、複雑な治療範囲を作りだす照射法です。この技術を用いれば、照射したくない正常組織を避けながら、腫瘍に照射することが可能になります。照射回数は通常の照射と同様で30回から40回程度が多くなっています。頭頚部(耳鼻科領域)と前立腺の腫瘍に行えます。
2010年4月から、保険適応範囲が広がり、限局性の固形悪性腫瘍となりました。